■第1話■ ダンゴムシみたいなゴキブリ
![]()
写真と文 鈴木知之

p1-1
| 現在日本はクワガタブームのまっただ中。 来年にはクワガタ関連の雑誌の数は何と7誌にも増えるのだという。 皆さんもそんなクワガタ雑誌の内の幾つかは読んだことがありますよね。 その中にKUWATAって雑誌があって、2001年の11月に発行されたNo.11の111ページに、僕が興味を持っている昆虫が写っている。 その写真はタブの樹液に来た口之島のトカラノコギリの♂を撮影したものである。 この写真を見た僕は「この虫ほしいな〜」と心に呟いてしまった。 雑誌を見ていない人はともかく、マニアックな皆さんはもうお気づきですね。 トカラノコの上で樹液を吸っている三葉虫型のゴキブリ。 僕が欲しい昆虫はトカラノコじゃなくて、このヒメマルゴキブリ Trichoblatta pigmaea なのである。 体長12mm程度で、九州佐多岬〜南西諸島西表島に分布している。 日本にはもう1種マルゴキブリ T. nigra が生息しているが、こちらは石垣島と西表島に生息する珍品である。 僕はどちらもまだ採集したことがない。 写真では樹液を吸っているから、行けば採れる種だとは思う。 友人に尋ねたところ、立ち枯れや樹皮下に普通に見られる種なのだそうだ。 マルゴキブリの仲間(マルゴキブリ科 Perisphaeridae)は熱帯地方にはどこにでも生息している。 ところが、彼らの生態を知らなかったら、まず採集は無理。 つまり、まだまだ珍品の座に居座っている虫なのだ。 僕はこのマルゴキブリが大好きで、あちらこちらで採集してはゴキブリコレクション(標本)に加えている。 和名のとおり、このゴキブリは刺激を与えるとダンゴムシのように丸くなってしまう(写真p1-1参照)。 だから、マルゴキブリっていう名前が付いたのだろう。 丸くなるのは♀だけで、♂は翅のある普通のゴキブリの形をしてる(写真p1-4参照)。 ♂の胸部、顔、脚などは♀に良く似ていてるから、そこを見れば、虫好きの皆さんなら何ら問題なく「ああ、こいつがマルゴキブリの♂だな・・・」って納得すると思う。 ♂は極めて珍しく、僕はマレーシアとパプアニューギアでほんの数頭しか見ていない。 日本産のは樹液で採れるみたいだから、結構採りやすいかもね・・・。 マルゴキブリの仲間は、世界ではいったい何種くらいいるのだろう? 不勉強な僕には皆目見当も付かないのだが、僕が持っている金色、黒、金緑色、銅色のマルゴキブリは全て別種である。 割とたくさんの種がいると、僕は思っている。 皆さんどうでしょうかマルゴキブリって! 格好良いとは思いませんか? 僕だけだったりして。 もしもマルゴキブリに興味を持たれた方は、チャンスがあったら採集してみてください。 飼育もできるみたいですよ・・・。 まだまだ生活史に謎が多いマルゴキブリは、日本では樹液、マレーシアではコフネヤシ Orbignya cohune の花に集まる(写真p1-3参照)。 パラワン、ボルネオ、そしてパプアニューギニア(ここでは2種)では全て昼間に木の葉上にいた。 少なくともこの仲間は、地上性の虫ではなくて樹上性のゴキブリなのだと思う。 次に彼女ら(丸いのは全て♀)に会えるのはいつのことやら・・・。 今度採ったら飼育してみようかな。 全てのマルゴキブリは卵胎生、つまり卵じゃなくて子どもを産むことがわかっていて、日本のヒメマルゴキブリはキノコに群れることが観察されていて、菌食性であると推察されている。 |
![]() p1-2 ![]() p1-3 ![]() p1-4 |
■写真の説明
p1-1
丸くなってるマルゴキブリTrichoblatta sp.
の♀。
これじゃ、ダンゴムシと間違えたって仕方ない
( 19mile, Cameron Highlands, Malay Peninsula,
8-Feb.-2001)。
p1-2
普通の状態のマルゴキブリTrichoblatta sp.
♀。
これならゴキブリだってわかるね( 19mile,
8-Feb.-2001)。
p1-3
マルゴキブリが集まるコフネヤシの花( 19mile,
8-Feb.-2001)。
p1-4
マルゴキブリTrichoblatta sp. の♂には翅がある。
マレー半島のとは別種だが、だいたいこんな形をしている
( Voivoro, vic. Oro Prov., Papua New Guinea,
8-Apr.-1998)。
top page =OPENING MOVIE=
■このページはフレーム構造になっております■
検索サイト等から
入られた方は?こちらをクリックしてください。
このサイトの全ての著作権は、管理者に帰属します。コンテンツの無断転写、複写を固く禁じます。
Produced, Presented and Powered by Science
Factory, since December, 1999