■第3話■ 世界最大のチョウ!! アレクサンドラトリバネアゲハ
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写真と文 鈴木知之

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| 世界最大のチョウとして知られるアレクサンドラトリバネアゲハ
Ornithoptera alexandrae 。 皆さんはご存じであろうか。 大きいのは♀で、翅を開くと何と28cmもある(写真p3-2参照)。 ♀は黄色い腹部に茶色の翅をしていて、一方の♂は♀よりも小さいながら青緑色〜青色の金属光沢に輝く翅をもっていてとにかく美しい(写真p3-1参照)。 最大13cmにもなる幼虫はウマノスズクサの仲間を食べていて、その植物にもアレクサンドラウマノスズクサ Pararistolochia alexandriana という名前が付いている(写真p3-3参照)。 1993年4月から約2年半の間、僕はパプア・ニューギニア(PNG)でこの世界最大のチョウの保護及び調査に携わった。 アレクサンドラは保護動物で、ワシントン条約のしかも付属書Tという最も絶滅が懸念される種として位置づけられている。 簡単にいうと中国のジャイアントパンダと同等の扱いだ。現在分布が確認されているのは、オロ州のポポンデッタとその他に2ヶ所だけ(いずれもオロ州)。 絶滅に瀕している原因は伐採による生息地の減少である。 伐採は、木材資源の確保とアブラヤシを植えるために行われていて、僕が滞在した期間にも数ヶ所の生息地がアブラヤシの植林と化した。その中に僕と現地スタッフとで発見した生息地もあったから、悔しいったらありゃしない。 ワシントン条約による規制は、アレクサンドラの保護には何の効力も持たなかったのである。 アレクサンドラはポポンデッタとその周辺に生息している。 アフォーレという山地にも分布しているが、生息地の殆どは低地熱帯雨林である。 巨木の高さは40mに達し、林内は暗くて蒸し暑い。 そんな暗いところには、幼虫も成虫の見つからない。彼らが好むのは、林縁や沢沿いや森の中の小さな空間など、やや明るいところなのである。 しかし、さらに彼らの好みはうるさくて、気に入らないところでは、たとえウマノスズクサが生えていたって見向きもしない。その代わり、条件の整った環境に生えたウマノスズクサには一年中幼虫が付いている。 しかも、幼虫は1株に常に1頭しかいない。♀は1株に1卵づつしか産まないのだ。 10数年を経た株は巨大で、時に数十メートルも他の植物に巻き付いて立ち上がっているから、1株に1頭は贅沢といえる。 幼虫は、終齢幼虫(5齢もしくは6齢)になると、食草の幹に頭を下にして止まり、根元から幹を切断してしまう。 そして切断した上の部分の茎を食べるのである。 ウマノスズクサは、茎が切断されたことによって葉が全部枯れてしまうから、幼虫は一見すると枯れた食草を食べているように見える。 しかし、ウマノスズクサは実際には枯れておらず、幼虫が食べている茎は生きているのだ。 恐らく、植物自体が水分の蒸発を防ぐために、自ら葉を落とすのであろうと僕は考えている。 乾燥して枯れないために・・・。 おっと、いけない真面目な話しになりそうだ・・・!! 成虫は、ハイビスカスの花が大好きで、朝の7時頃から吸蜜にやってくる。 昼間は暑すぎてあまり見られないが、夕方4時ころになるとまたまた飛んでくる。 吸蜜にやってくるのは♀がほとんどで、シャイな♂は地上20〜30mくらいの樹幹を飛んでいることが多い。 僕は4♂が追いかっけっこ(追尾という)してる所を目撃したことがありが、それはそれは見事であった。 ♂は翅が細長くて結構早く飛び、♀は大きいからゆっくりと飛んでいることが多い。 僕が最後にアレクサンドラを見に行ったのは1998年だから、そろそろ会いに行こうかなあ、なんて考えている。 |
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■写真の説明
p3-1
アレクサンドラトリバネアゲハの♂。
緑がかった青い翅が美しい(Lejo, vic. Popondetta,
Oro Prov., Papua New Guinea, 17-Mar.-1992)。
p3-2
アレクサンドラトリバネアゲハの♀。
ハイビスカスの花と比べると、いかに巨大であるかがわかる(Voivoro,
vic. Popondetta 23-Sep.-1992)。
p3-3
アレクサンドラウマノスズクサの葉裏で見つかったアレクサンドラトリバネアゲハの3齢幼虫。
(Voivoro, vic. Popondetta 4-Apr.-1998)。
p3-4
アレクサンドラトリバネアゲハの蛹。
蛹化するときは、必ず食草から離れ、別の植物の葉裏で蛹化する(Lejo,
8-Oct.-1991)。
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