なぜ「治療しない判断」が動物福祉なのか|野生動物医療における輸血と処置の限界

助けないのではない。「やらない」という判断が、最もその命に近いことがある。野生動物医療の現場で、なぜ輸血や積極的治療は原則として選ばれないのか。そこには冷酷さではなく、成功率・苦痛・予後・種特性を直視した動物福祉としての、静かで誠実な判断がある。 はじめに|この記事の立場について(重要)※本記事は、筆者自身が獣医療行為を行っている立場からの記述ではありません。筆者は獣医師免許を有しておらず、診断・治療・処置・輸血などの医療行為は、必ず獣医師によって判断・実施されるべきものです。本文中で述べる内容は、野生動物医療に携わる獣医師・専門家との協働、取材、保護・飼育現場での観察を通して共有されてきた一般的な知見や考え方を、動物福祉の観点から…