
法律が変わる前に知っておきたい、動物との“ふれあい”に必要な視点と配慮
「ふれあい施設」は今後どうなる?──野生動物・外来種の商業利用制限に注目
動物と直接ふれあえる「ふれあい施設」や「動物カフェ」は、動物好きの人々にとって人気のあるレジャー施設のひとつです。しかし近年、こうした施設で取り扱われている**野生動物や外来種の“商業利用”**について、法律の見直しや規制強化の動きが進んでいます。
この記事では、2025年に予定されている動物愛護法改正や、外来生物法、特定動物制度などに関連して、「ふれあい施設」が今後どのような影響を受ける可能性があるのかを、わかりやすく解説します。
1. なぜ今、「ふれあい施設」が注目されているのか?
もともと動物園や水族館とは異なり、民間が運営するふれあい施設では展示の自由度が高く、珍しい野生動物や海外由来の動物種が来場者との“ふれあい用”として飼育・展示されることが増えてきました。
しかしその一方で、以下のような問題点が指摘されています:
生態系を壊す恐れのある外来種の無秩序な導入
本来人と密接に関わることがない野生動物に過剰なストレスがかかる
繁殖・飼育の背景が不透明な動物が商業利用されている
法令上の監視・規制が不十分で、福祉管理が行き届かない事例もある
これにより、環境省や有識者会議では、**「外来種・野生動物の安易な商業利用は見直すべき」**との声が高まり、法改正への動きが加速しています。
2. 規制の対象となる動物とは?
以下のような動物種は、今後とくに規制対象として注目されています:
■ 外来生物法による規制候補
カピバラ、ミーアキャット、アライグマなど人気の“海外動物”
繁殖力が高く、逸出すると生態系を破壊するリスクがある種
■ 特定動物制度による取扱い制限
サーバルキャット、リスザル、フクロウなど、一部猛禽類・霊長類・肉食獣
噛傷事故・逃走リスクのある種は「危険動物」として許可制に移行
■ 動物愛護法でのふれあい制限対象
幼齢動物(十分に育っていない個体)
明らかに健康を損なっている状態で展示・接客させられている動物
今後、これらの動物の**「飼育・展示・ふれあい」行為が行政の許可制または指針対象となる**可能性があります。
3. 法改正の具体的な方向性とは?
現在、以下のような制度改正が議論されています:
外来生物法の対象種を拡大し、許可なく飼育・展示できる種を制限
特定動物の取り扱い許可基準を厳格化し、展示・接客を含めた規制を強化
動物愛護法の「適正な飼育・展示」基準に、ふれあい時間や休息時間の制限を追加
動物カフェ・ふれあい施設を**「展示施設」として監督対象に明記**する動きも
これにより、これまで「グレーゾーン」で運営されていた施設が行政の直接管理下に置かれる可能性が高まっています。
4. 経営者・来場者が今からできること
■ 経営者向け対策:
自施設で扱う動物種が規制候補かどうかを確認
展示方法・ふれあい方法・休憩時間などの福祉面を見直す
許可申請に必要な設備基準や研修制度への準備を進める
獣医師・専門家との連携体制の整備
■ 来場者が意識すべき点:
動物が過剰に触られていないか、不安げな様子ではないかを観察
施設が衛生的か、安全管理や説明対応が整っているかをチェック
SNS映えだけでなく、「動物にとって良い時間か?」という視点を持つ
おわりに:求められるのは“ふれあい”の質の向上
これからの「ふれあい施設」は、“かわいい”“珍しい”だけでは運営が成り立たない時代に入っていきます。
動物に無理をさせない展示、本来の生態を尊重した接し方、訪れる人にも学びがある空間づくり。これこそが、次世代のふれあい施設に求められる姿です。
法改正を「規制」ではなく「機会」と捉え、動物と人、そして社会の信頼を得られる場づくりを、今こそ目指すべき時です。
