
血液型は性格占いではない。
動物の世界では、それは“生死を分ける情報”だ。
犬は8種類以上、猫は初回輸血でも命の危険、馬は30万通り――
人間の常識がいちばん通用しない「動物の血液型」の世界を、
現場視点と科学的知見からわかりやすく解説する。
その血液型の知識、動物には通用しません
「血液型は何型ですか?」
人間同士なら、
それは雑談であり、ちょっとした自己紹介であり、
時には性格を語るための軽いネタにもなります。
けれど――
その感覚のまま動物を語ると、普通に危険です。
なぜなら、
動物の血液型は“話題”ではなく“医療情報”だから。
本記事では
・犬
・猫
・馬
・霊長類
を中心に、
**「人間の常識がまったく通用しない血液型の世界」**を
初耳学レベルのわかりやすさと、
専門的に破綻しない深さで解説していきます。
人間の血液型は、実はかなり単純
私たち人間が日常的に使っている血液型は
主に ABO式 と Rh式。
A型
B型
AB型
O型
この分類は
「人間の血液が単純だから」存在するのではありません。
医療上、扱いやすく整理されてきた結果です。
輸血事故を防ぎ、
大量の医療現場で運用するために
“実用性優先”で構築されたシステム。
ところが――
動物の血液型は、そうはいきません。
犬の血液型|8種類以上ある“DEA方式”
イヌの血液型は
DEA(Dog Erythrocyte Antigen)方式で分類されます。
代表的なものだけでも
DEA1
DEA3
DEA4
DEA5
DEA7
などがあり、
全体では8種類以上存在します。
犬の輸血で怖いポイント
ここで重要なのは、次の特徴です。
初回輸血は問題が出にくい
2回目以降で急変することがある
なぜか。
最初の輸血で
犬の体はこう学習します。
「この血は自分のものじゃない」
そして次に同じ型で輸血されたとき、
免疫反応が一気に表面化する。
犬の輸血は
「最初が無事だったから大丈夫」と
決して言い切れない世界です。
猫の血液型|少ないのに、いちばん危険
ネコの血液型は
わずか3種類。
A型
B型
AB型
一見、簡単そうに見えます。
ですが、猫の血液型は最難関クラスです。
猫は「最初から拒絶抗体を持っている」
犬と決定的に違う点があります。
猫は
生まれた時点で自然抗体を持っている。
つまり――
❌ 初回の輸血でも即・命の危険
これは決して大げさではありません。
繁殖現場で起きる「新生児溶血」
さらに深刻なのが
新生児溶血(FNI)。
母猫と子猫の血液型が合わない
子猫が母乳を飲む
抗体が体内に入り、溶血を起こす
結果として
生後数日で命を落とすことがある。
猫の血液型は
「知らなかった」では済まされない知識です。
馬の血液型|もはや“数える世界”ではない
ウマの血液型は
人間の感覚を完全に超えています。
👉 30万通り以上
これは誇張ではありません。
複数の血液型因子が
複雑に組み合わさり、
ほぼ個体識別レベルの多様性を生みます。
馬の輸血は「完全一致」が前提
部分一致ではリスクが高い
事前検査は必須
緊急輸血でも慎重な判断が必要
人間の
「だいたい合っていればOK」という感覚は
まったく通用しません。
霊長類の血液型|人間に近い理由
チンパンジーやゴリラなど
霊長類には
人間に近いABO型が存在します。
これは
🧬 進化的に近縁である証拠
血液型は
医学データであると同時に、
進化の履歴書でもあるのです。
血液型で性格は決まるのか?
ここは、はっきり言えます。
決まりません。
攻撃性
臆病さ
賢さ
協調性
これらは
遺伝・環境・経験・学習・個体差
によって形成されます。
血液型は
行動の設計図ではない。
むしろ
「血液型で性格を説明したくなる人間心理」
のほうが、行動学的には興味深いテーマです。
動物の血液型が教えてくれる、本当のこと
動物の血液型は
単なる雑学ではありません。
それは――
命の守り方は種ごとに違う
人間の常識は普遍ではない
知識が、生死を分けることがある
という、静かなメッセージです。
覚えておいてほしい一文
人間の血液型は、話のネタ。
動物の血液型は、命の話。
この違いを知るだけで、
動物を見る視点は確実に変わります。

